複合的な動作をもっと身軽にスムーズにつなげて動けるようになりたいと思ったら

例えば仰向けに寝転がって片脚は斜め45度に上げてフレックスで足の裏をしっかり開いて膝の裏をまっすぐ伸展させ、もう片方の足はつま先を伸ばして膝を屈曲させ土踏まずが伸ばしている脚のふくらはぎの横にくるようにした時に、自分の脚が空間の中でそれぞれどこにどのような状態であるかをちゃんと頭で分かって目をつぶっていても認識できると思います。このように自分の身体がどんな動きをしているかやどんな位置にあるかを脳で把握する感覚を固有受容感覚といいます。

重心の移動をしたり方向転換したりする場合にバランスを失ったり力まずにするにはそのために使う部位を効率的な順番で連動させなくてはなりません。この固有受容感覚を磨いておくと、一連の動作に使われる身体のパーツの連携がスムーズになりってまとまって無駄のない動きができるようになり、身体に負担をかけず無理なく痛みがない状態で正確な身体感覚を保つためにも大変役に立つということを最近実感するようになりました。

 

日頃靴をずっと履いていると足の指をばらばらに動かすことをあまりしないので、足の指の間を広げたり、薬指だけ動かそうとすると全然できなかったりします。狭い靴の中で足の指が圧迫されている状態が続いてばらばらに動かすことをしなくなると、脳は足の指を一つのかたまりと認識してばらばらに動かす固有受容感覚が薄れていきます。そのため、このようにあまり動かしてなかったり使ってないと本来できるはずの動作をしようと試みてもその感覚を忘れてしまって動かせなくなってしまうことがあります。でもその動かなくなってしまった部分を手で触って刺激を与えると脳にその信号が送られて今まで眠っていた感覚を活性化することができ、意識的に調整しながらそれを繰り返していくことによって少しずつ脳がその部分に意識を向けることができるようになり、だんだん動くようになっていきます。このようにどんな動きでも練習を積み重ねていくとコツをつかんで上達していくことができるのはこのためです。

 

でも身体に何らかの痛みがあると痛みを発する信号が優先的に脳に伝わって、痛みのある場所の固有受容感覚の情報が打ち消されてしまうため知覚が衰えていき、痛みがあるためにその部分を動かさなくなって、うまく連動できなくなり、その結果運動が減って痛みが悪化するという悪循環を生んでしまいます。例えば五十肩が痛くて動かさないでいると固まってきてもっと痛くなったり余計に動かなくなったりする場合等です。痛みが少しでもあると脳は潜在意識的に痛みをなるべく感じないように動きのパターンを調整してしまうので、本来持っている可動範囲を十分に使い切れないまま中途半端な動きになってしまい、それがさらに別の怪我を引き起こす要因につながったりするのです。

 

より複雑で高度に複数の動きが組み合わさった動きが含まれるスポーツや踊り等をもっと上手に楽にできるようにするためにこの固有受容感覚を高めていくには、動きそのものを練習するのと並行してその動きをコントロールする脳が身体に何が起こっていてどのように動くべきかを判断して身体を連動させる感覚を発達していくことが重要です。特に好奇心を掻き立てるような目新しい刺激を意識的に加えながらできるだけ関節をたくさん動かしていくようにすると肉体的にも見た目にもはっきり変化が表れて非常に効果的です。そして痛みがある場合は安静にしていなければならない場合を除き痛みのある部分の周りを活性化させて、まずその痛みから自由になることも必要です。

 

冒頭で例に挙げた脚の形を交互に入れ替えながら上下運動する動作はジャイロトニックのベーシックなエクササイズの一つなのですが、両脚の上下運動をしながら同時に足のつま先を伸ばすのとフレックスにするのをかわりばんこにするのはシンプルに見えていざやってみると意外と難しいと感じる方も多く、また、一つ一つの動きは個別にできてもなかなか連続してできるようになるまでには時間がかかる場合が結構あります。

それは普段の生活にない動きや今までやったことがない動きがいくつか組み合わさっていると、一つづず段階を追って区切ってやらないといっぺんに全部はできないので、通常は一つ一つの動きが細切れで頭で認識され、習熟してから一連のつながった連続動作としての連携関係が認識できるまで時間を要するからです。

 

頭では何をすべきか理解していてもなかなかすぐにやろうとしたことが身体に反映できないと、それはセンスがないとか運動神経が悪いとか年齢のせいとか落胆しがちですがそういうことでは決してありません。実際、足の指の間を開いたりできるだけ全部の関節を動かしたり遠くの何かに届くように伸ばしたりする感覚を様々な感触の道具を使っていろんな向きや姿勢で刺激し、その部位の動きをコントロールする脳に情報を繰り返し与え続けていくと、なかなか上手にできなかったのがつながった動きとして滑らかにできるようになりました。

 

動く関節があるのに動かさないとどんどん感覚が鈍って動きが悪くなっていきますが、逆に刺激を与えて感覚を活性化させたり、動かそうと意識を向けてとにかく繰り返動くようになっていきますので、何かのせいにして諦めずに固有受容感覚を発達させていくことを試してみましょう。実は自分にもポテンシャルがあったことへの嬉しい驚きと発見がきっとあると想いますよ!

 

固有受容感覚について分かりやすく説明されている記事がありましたので、よろしければこちらもご参照ください。

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